森林づくり活動では、
植樹や除間伐・育林など、様々な活動が行われています。
ここでは、目的や技術的なノウハウの説明も交えながら、森林づくり活動がより安全に行われるように基本的な知識をご紹介します。

植樹・植栽

植樹・植栽の目的

森林には、多くの生き物を育み、おいしい水やきれいな空気、私たちの生活に必要な木材を生み出すほか、私たちの心を癒し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収したり、土砂崩れを防いだりするといった様々な働きがあります。この森林の多面的機能の観点から、日本ひいては世界各地で様々な目的で植樹が行われています。特に近年では、地球温暖化防止機能が注目されており、企業のCSR活動でも多く取り組まれている活動です。

植樹活動をするために

【服装】動きやすい服装、土の上で活動できる靴
【道具】クワ、鎌、スコップ、軍手…など

植樹の基本手順

  1. 植える場所に堆肥を置き、スコップで掘り返しながら混ぜ込みます。
    植える場所は、日当たりと風通しが良いことが基本ですが、日陰に強い・日当たりを好む等特性にあった場所に植えます。
  2. 苗を植える穴を掘り、土を柔らかくします。
  3. 穴に苗を入れて、深植えにならないように気をつけながら丁寧に土を戻していきます。根本が隠れる程度まで土をかけて優しく押さえたら、隙間の無いように土を入れてしっかりと押さえます。
    ポット苗の場合、ポット内で根が固くなっている場合があるので、周りの根を2、3㎝ほぐして植えます。
  4. 1㎡あたり2、3本の間隔で、交互になるように植えます。
    ※苗木によって異なります
  5. 根本にたっぷりと水をかけます。

下刈り作業

下刈り作業の目的

 植樹された苗木や樹木は、そのまま放っておけば草本類や他の樹種が生い茂り、十分に日光が当たらないなどの理由によってその生育が妨げられてしまいます。十分な成長を促し、形質劣化を防ぐために、鎌や刈払機を用いた下刈り作業を行います。

 安全に作業ができる服装等(※)を着用し、安全に作業を行うようにしましょう。

(※)①そでじまり、すそじまりのいい服装 ②滑りにくく、丈夫な履き物 ③ヘルメットはあごひもをしっかりしめ、正しく着用  ④耳栓(イヤーマフ)、防塵眼鏡を着用

(1)刈払機の正しい装着

転倒、キックバックによる災害防止のため、刈払機は、肩掛け式のものは、Uハンドル、腰バンド付きで、緊急離脱装置及び飛散防護装置を備えたものを使用します。
硬い灌木、笹などを刈り払ったりするので、刈刃は丸のこ刃を使用します。

(2)作業姿勢、足場の確保

作業は、正しい姿勢で、安定した足場を確保して行います。
身体のバランスに常に配慮し、正しい姿勢で行います。
特に足の位置は、足場の良い箇所に置き、丸のこ刃を足に近寄せないようにします。
※前進は右足から、左への移動は左足から、右への移動は右足から。

(3)安全な刈払機作業について

往復刈りは行わない
刈払いは、回転方向の歯で切断します。
往復刈りは、回転方向の刈刃の反対側を対象物に当てることになり、この場合は、歯で切っているのではなく、高速回転による叩き切りをしています。そのため、短い切片が遠くまで飛び、作業者の方にも飛んできて、顔や目に当たったりして危険です。

上下・近接作業は行わない
刈払機を用いて作業を行うときは、5mの範囲内を危険区域とし、この区域に他の作業者を立ち入らせないようにしてください。
刈払機は、根株、灌木等が当たったとき、キックバックをおこすことがあります。
刈刃の部分、または、刈払機が振り回され、他の作業者に危害を与えることがあるので、作業者はお互いに離れて作業します。

キックバック・刈刃位置に注意する
キックバックの発生しない安全な切断部分(刈刃の左前部1/3)を使用し、腰より低い刈刃位置とします。

(4)エンジンの停止

移動するときはエンジンを止める。
刈払い場所を変えるために作業地を移動するときは、エンジンは止めます。
移動中に、万一転倒したとき、回転中の刈刃が作業者に接触したり、あるいは、他の作業者に接触することがあります。
※作業中以外はエンジンを停止するようにしましょう。

間伐作業

間伐作業の目的

 昭和30年から40年にかけて、多くの木々が植林されてきました。しかし、混み合った林内では木々が十分に育ちません。また、日光が入らず暗い林内では下草が生えずに土が露出し、様々な災害をもたらします。間伐作業では、木々に適度な間隔を持たすことで、日光の入りを良くし、1本1本の木々の成長を促進。その結果、大きくたくましく育った木々によって天災にも強い健全な森林となり、地球温暖化防止にも貢献するのです。

間伐の選木
林分管理密度図から求める。(林令・樹高)
現存成立本数ー適正本数=間伐本数

選木方法
目的に合った木を残す(成長に見合った本数)
  <伐る木>
  ①成長の悪い木、極端に大きい
  ②病気にかかっている木、虫に食害されて
    いる木

(1)チェーンソーの取扱い
1.外観・パーツの欠損・部品の緩み等のチェック
2.始業点検・エンジンの始動
3.チェーンソーを身体の右側にし、使用する
  (万が一大きくキックバックしたときでも、顔正面に当たらない。)

(2)チェーンソーの安全使用
作業手順・人員配置・危険場所の確認
数人を1グループとして作業を行います。リーダーを1名置き、事前に打ち合わせをしておきます。グループ内における安全確認、方法などを明確に指示する必要があります。

同一斜面の上下での作業の禁止
倒れてくる木の下敷きになるなどの危険性があります。
たとえ同時作業でなくても下側にいるということは大変危険です。

近接作業の禁止
作業者間・作業グループ間の安全距離(樹高の約2倍)を常に確保をしておきます。
※同時に2本以上の伐木を行わないでください。

作業中に不用意に作業者に近づかない。
他者の不意の出現によって作業ミスが発生するなどの危険性があります。

伐木作業

 伐木作業の手順

  森林ボランティア活動では、スギ・ヒノキの間伐や広葉樹の伐採などをおこないます。安全に伐木を行うためにグループで話し合いながら進めましょう。

伐採する樹木の確認
ツルや枯れがないかを確認。ツルが絡まったままで伐倒した場合、予想できない方向へ倒れます。
枯れがあった場合、伐木中枝が折れ落ちてきます。

周囲の除伐
足場を確保するため、伐採する樹木の除伐を行います。特に退避方向には障害物がないよう整理してます。

重心の確認

伐採する樹木の重心を2方向以上から確認します。森林ボランティア活動では重心方向へ倒します。樹木が滑り落ちたりする場合はこの限りではありません。

ロープをかける

森林ボランティアでは、かかり木処理や伐木方向の補助のためロープを事前にかけます。

受け口を作る

伐倒方向が決まったら受け口を作ります。水平と斜めの結合線はしっかり合わせます。

追い口を作る

ツルを10分の1程度残し、くさびを打つかフェリングレバーで伐倒します。