伏せ焼きの勧め
年度が替わって以来、森づくりの志を抱く方々との新たな出会いがいくつもありました。この仕事の大きな喜びの一つです。今年はどうしたわけか、竹炭を作って農業に利用しようと考えている方々と数多く出会いました。みなさんいろんな方法を考えておられ、なるほどこんなやり方もあるのかと勉強になります。
私のおすすめの方法を一つご紹介します。と言っても私がやりだしたことではなく、うんと昔、山仕事修業時代に私の親方が言い出したことです。ある人が、「自分が育てている若者に農業をやらせているのだが、炭や木酢で土壌改良をしたい。ついては、彼らに炭焼きを教えてやってほしい」と頼んできました。親方は一言のもとこういいました。「そんなのにわざわざ窯築くことない、畑の中で炭焼きすればいいじゃないか。炭も、木酢も自然に土の中に入っていくだろう。」それを聞いたその人は、「あ、なるほど!」とひざを打って関心なさっていました。
方法としては、「伏せ焼き」という、もっとも原始的な炭焼き法です。以来私も何度か山仕事で出た雑草木をこの方法で炭にし、木を植えるときなど植え穴に入れてみたりしましたが、根の活着、その後の成長など目に見えて違っていました。 竹を焼いてみたことはなかったので、初めてやってみましたので、手順をご紹介します。
まず穴を掘り、煙突を立てます。穴の深さは炭材の量によりますが、最低1スコップ分は掘ります。穴の大きさも自由ですが、今回はドラム缶を縦割りにしたものを使いましたので、それに合わせました。親方は、煙突もドラム缶も何も使わず、スコップ一丁で全く無造作に土をかけるだけのようにやっていました。やってみるとわかりますが、それにはよほど煙を読むことのできる感を身に着けていなければなりません。ドラム缶を使うと、熱の量が足りない時、追い焚きがやりやすくなります。
穴の中でたき火をして、十分な燠を作ります。たき火している時間を利用して、炭材である竹を割って準備しておきます。
燠の上に敷き木を敷いて、その上に炭材である竹を隙間なく積みます。
炭材を粗朶などで覆いドラム缶をかぶせます。
煙の様子を見ながら、少しずつ隙間を埋めるようにしながら土をかけていきます。炭化が開始されたことが認められたら小さな吸気穴を除いて完全に土で覆います。炭化の開始は、煙の臭いで判断しますが、慣れが必要です。操作が早すぎたら、追い焚きをします。
青煙になったら煙突も吸気口も土で完全に密閉し、一日以上さましてから窯出しです。
今回は窯を止めてしまわないよう用心して、あまり絞らなかったので、炭化が早く進み、翌朝行ったときには完全に煙切れになっていて、炭を随分減らしてしまいました。何回かやれば、ちょうど良い絞り具合がわかってくるかと思います。
こういったことを、畑の中で点々とおこなえば、良い土壌改良になるのではないでしょうか。またこのような原始的なやり方でも、炭焼き技術の基本を身に着けることができます。炭焼きを志向される方は是非お試しください。大村まで来れる方はご指導いたします。
(投稿、福田)